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思いはいのり、言葉はつばさ

児童文学

小高から

まはら三桃/著 まめふく/装画

定価:1,540円

ハンカチに刺繍されていたのは、女の人だけが読み書きできるという文字でした。その美しさに、チャオミンは夢中になってしまいます。

判型サイズ:四六判

ページ数:252ページ

ISBN978-4-7520-0896-5

配本日:2019年07月24日

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本書見返し(表紙・裏表紙裏側の左右2ページ)について
1991年に中国・湖南省の江永県黄甲嶺郷鳳田村で発見された三朝書の一部で、
この地方の、昔の女性が書いたものと思われます。
嫁ぐ娘の兄嫁がその義理の妹に宛てて女書で綴ったもので、
大まかな内容は
「……まだ若いあなたが何もわからないままま嫁ぐのはかわいそう。他人の家に入るのはつらいけど、くよくよしないで遠い先のことを考えなさい。なんでもよくわかる両親と別れるのを引き留める力もなくて私もつらい。明日からは食卓の茶碗も一つ減ります。箸も一膳減ります……」
と、いうものです。
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資料提供:遠藤織枝

読者の声

はじめて知った女書ですが、チャオミンの素直な気持ちや想いが文字になっていく喜びがまっすぐ私に伝わってきました。美しい歌声、女性同士の繋がりが豊かで、手仕事の楽しそうな様子、今は体験できないような自然と結びついた暮らしや祭りが見えるようでどんどん魅きこまれて一気に読んでしまいました。チャオミンの家族、シューイン姉さん、グンウイ先生、シュウチーが大好きになり、会いたくなります。
この物語の世界に入って一緒に生活したくなります。言葉や歌が本当に大切にされ、支えとなっている世界があるのですね。学校司書として、子どもたちにも勧めてみます。絵本にもならないでしょうか。刺繍も素敵で、サンゴの筆や祭りの服、みてみたいです!(50代・女性)

中国の女文字の存在を知りました。決して優等生ではない少女たちの暮らしの様子がよくわかる本です。
この本を読むことによって、中国や少数民族に関心が持てるようになるでしょう。
結婚するということが女性にとってどういう意味を持つのか考えるきっかけにもなると思います。
子どもたちにすすめたい一冊です。(60代女性・児童図書相談士)

「思いはいのり、言葉はつばさ」
すてきな心にしみることばです。
装丁の絵と紙質もしっとりしておちついています。
チャオミンのやさしくあたたかい心と家族や友だちおばあさんすてき。
部族の文化の違いを大切にしながら楽しむ生活は
とても現実的であり、理想であり、ジャコウジカのキモを人助けに使うお父さんの価値観に感銘しました。
児童文学には人生のすべてに通じるものがありますね。(60代・女性)

女の子の希望と自由について丁寧に織りもののように描かれていて、じーんとあたたかく明るい力をいただきました。
まさに、こういう本が若い小さい人々に届くといいなと説に思いました。ありがとうございました。(50代・女性)

「生きる」「私」とは「生活」、「生活」とは「思い」、「思い」とは「祈り」、「祈り」とは「言葉」、「言葉」とは「つばさ」、「つばさ」とは「歌」、「歌」とは「生きる」「私」
日本の万葉集が編まれた時代はそういう時代。チャオミンの村でとび交う歌からそんなことを想像しました。チベット文化の流れをくむ東アジアの山岳民は今でも「歌」で生きたくらしをしています。ことばが歌に同時変換する生活を失ってしまった現代人はますます空っぽな人になってゆくのでしょうね。
今、子どもたちには本を読むことが勉強だと言い聞かせています。本を読んで「ことば」が一番なのだといっています。まはらさん、たくさんことばを紡いでください。

とても暖かいお話でした。
つらい時代でも、言葉は強く美しいと感じました。(30代・男性)

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